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印鑑、手数料納付等の手続については、「押印の在り方を検討する。」とし、手数料は現行のほとんどの場合に採用されている収入印紙方式に加え、振替等が可能な範囲を拡大するとしている。これらは、いずれも申請等を電子化する際にボトルネックとなるとされている課題である。

以上のような手続面の整備に加え、申請等の電子化の具体的な方策として、「霞が関WANの活用などにより、国・地方を通ずる行政の情報通信基盤の構築を進め、国・地方を通じた窓口の一元化、1つの手続で関連の申請がすべて同時にできるワンストップ・サービスを早期に実現する。」と踏み込んだ内容になっている点が評価されよう。今後は、各省庁においてこのようなワンストップ・サービスの可能性がある申請の洗い出し、その一括申請の実現の可能性、課題を具体的につめていく作業が必要とされよう。また、ワンストップ・サービスの実現に向けた技術的な課題は第3章で既述のとおりである。

情報技術の一般社会における普及に対応するという観点からの規制緩和として、行政が民間事業者に保存を義務付けている文書の電子化を容認する方向で検討が進み、具体化しつつあることも第3章で既述のとおりである。

?C サービスの改善

行政改革が行政内部の効率化だけではなく、行政運営の結果が行政サービスとして現れる以上、そのサービス自体の改善がさらに検討されなければならない。情報技術を活用した新しいサービス形態については第3章で既述のとおりであるが、いずれの場合においても、現行の制度、手続の範囲そのままでは実現しにくい面があることも考慮しなければならない。

特に、ネットワークが旧来の組織の壁を越えて機能する特性を持ち、そのことによって、ワンストップ・サービスやマルチ・アクセス・サービスが実現するという構造があることからすれば、それを円滑に推進するため、既存の法制度の枠組みを越えた手続が実現されなければならない。個別責任主義で細分化された行政の組織、権限をこのようなネットワーク機能によって横断的なサービスで枠を超えることは容易ではないと考えられるが、それを目指すことがまさに、行政改革の推進であり、行政サービスの根本の改革になる筈である。情報技術の進歩、ネットワークの普及が技術的にはそれを可能としつつあるのである。

 

 

 

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